成年後見制度②「法定後見」とは

「法定後見」とは?特徴やメリット、デメリットは?「後見」「保佐」「補助」とは?誰が成年後見人になれる?、、など、法定後見の疑問について、群馬県伊勢崎市の女性行政書士事務所 まつもと行政書士事務所が解説します。

こんにちは!
群馬県伊勢崎市の行政書士 松本直子です。

成年後見制度のお話の続きです。
🌷 前回の記事はこちら→成年後見制度①「成年後見」って何? 🌷

前回、最後に書いたように、
成年後見制度には、大きく分けて
「法定後見制度」と「任意後見制度」という2種類があります。

そのうち「法定後見制度」とは、
既に判断能力が低下している方を対象にした制度で、
判断能力の低下の程度によって
「後見」「保佐」「補助」という3つの制度があります。
それぞれ、「後見人」「保佐人」「補助人」という名前の保護者が選ばれて、
財産の管理や、介護・施設に関する契約などを
ご本人の代わりに行うことができます。
保護者の権限が最も大きいのが「後見」で、最も小さいのが「補助」です。
実際には、「後見」制度を利用する方がほとんどですので、
ここからは「後見」に絞ってお話しします。

後見を開始するためには、家庭裁判所に申立をしなければいけません。
家庭裁判所が、最も適任と考えられる成年後見人を選出します。
申立は、4親等内の親族など、法律で決められた人がすることができます。

成年後見人になれる人は、親族や、弁護士・司法書士・その他専門家などです。
ちなみに行政書士も、成年後見人になれます。
申立の時に、あらかじめ成年後見人の候補者を挙げるので、
ご家族の誰かを後見人にしたいという希望があれば出すことができますが、
必ず候補者の中から選ばれるわけではなく、
ご本人(守ってもらう人)の財産が多額であったり、
将来トラブルになる可能性がある場合など、
状況によっては、第三者である専門家が後見人として選ばれることもあります。
最近は、親族よりも専門家が後見人になる割合の方が多いようです。

その他、知っておいた方がよいこととして、
第三者の専門家が後見人に就任した場合、
毎月、その人に報酬を支払う必要があります。
扱う財産の額によって違いますが、大体、月1万円~数万円かかります。
さらに、一度後見人がついたら、基本的には
守ってもらう人の判断能力が回復するかお亡くなりになるまで、
ずっと後見が続くことになります。
例えば、後見人をつけるきっかけが
ある不動産を売却したいだけ、とか、
親の遺産を分ける話し合いに代わりに参加してもらうため、とか
特定の目的のためだったとしても、
後見の場合は、それだけで終了、というわけにはいきませんので
注意が必要です。

(ちなみに、判断能力の低下の程度が最も小さい場合に利用できる
「補助」の場合は、特定の行為だけを代わりに行ってもらうことができます。)

また、後見人がつくと、守ってもらう方の財産は
その後、後見人が管理することになり、
後見人以外は、ご家族であっても勝手に手を付けることができなくなります。
そして後見制度というのは本来、判断能力が低下した方の財産が、
第三者に侵害されないよう「守る」というのが前提の制度なので
住んでいない家を売ったり貸したり、口座を解約したり、
という行為は、後見人が代理で行えるとはいっても、
あくまで、預貯金や不動産の持ち主ご本人(守ってもらっている人)にとって
必要がある場合でないと、
ご家族の希望に応じて何でもいつでも簡単にしてもらえるわけではない、
という面もあります。

とはいえ、後見制度では、
騙されて結んでしまった契約を後見人が取り消すこともできたり、
また、財産を守るということだけでなく、
守ってもらう人が、健康で安全な生活を維持できるよう、
常に見守ってもらえるという良い点もあります。

難しい言葉も多く、メリットやデメリットも色々あると聞けば
なかなかとっつきにくい制度かもしれませんが、
正しい知識をもって、
上手に活用していただけるとよいのではないかと思います。

次回は、「任意後見制度」についての予定です😊
🌷 続きはこちら→成年後見制度③「任意後見」とは 🌷

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